自己破産とは
自己破産は、裁判所に自ら破産を申立てて、免責許可をもらう手続きです。
免責とは、税金、非合法手段で得たもの返済、犯罪賠償、養育費などの免責されない債権を除いた、全ての債務をなくするという手続きです。
自己破産は、裁判所が債務を返済していく能力がない(現在持っている資産や、今後得られる収入などから判断して、債務のすべてを完済することが不可能な状態)ことを認める手続きで、破産が認められても免責許可が下りなければ債務は残ったままとなります。
そのため、自己破産の申請は免責許可をもらうために行うと言えるでしょう。
「借金が100万円しかないので自己破産は無理だ」というような話を聞くことがあります。
しかし、債務がそれほど多くない場合であっても、資産がなく収入も少ないため、返済が見込めないような状態であれば、自己破産が認められる場合も多くあります。
このように、破産は返済ができるかどうかが問題であり、債務の金額とは関係がありません。返済が見込めるかは、裁判官が、債務額や資産状況、現在や今後見込まれる収入等を検討して判断します。
ただし、免責許可は自己破産が認められると全てに下りるものではありません。
自己破産が認められても、借り入れの原因が「免責不許可事由」にあたる場合は免責が許可されないこともあります。
免責不許可事由とは、パチンコ・パチスロや競馬などのギャンブルや株・FX・CXなどもこれに当たります。
また、債権者への配当にまわされるはずの財産を隠したり、壊したり、不当に安く売却してしまったりする行為をした場合も免責不許可事由に当たることになります。
自己破産の手続き
自己破産の手続きは、資産や債務の状況により、同時廃止と異時廃止に分かれます。
同時廃止とは、破産手続開始決定と同時に、破産管財人を選任することなく破産手続き開始決定と同時に免責許可が下り破産手続きを終わることをいいます。
同時廃止になると、期間も短く、管財人費用も掛からないので早ければ3ヵ月程度で終わることもあります。
異時廃止は、さらに通常管財事件と少額管財事件に分かれます。
管財人が選任されると、管財人費用が必要となるばかりか、手続きに時間がかかってしまいます。
そこで、規模が一定以下の場合に、少しでも簡易な手続きで行われるよう少額管財事件があります。
負債額が大きい、債権者数が多い、破産者の資産が多い、破産開始決定後に破産管財人が処理すべき事柄が多い、もしくは複雑であるなどの要素がある場合は、通常管財事件となります。
この場合、破産法上の原則どおりの厳格な運用によって手続きが進められて行きます。
これに対し、少額管財事件は一定の資産のある個人が破産した場合や個人事業主などが破産した場合に、通常管財事件よりも簡略な扱いで破産手続きが行われます。
このような手続きを少額管財事件(地域によっては、一般管財、簡易管財など)と呼びます。
少額管財事件では、財産の換価、債権者への配当など、通常管財事件ではある程度の時間を要する手続きを、迅速・簡略化した運用が行われています。
その結果、通常管財事件と比較すると手続きに掛かる時間も短縮されています。