任意整理のメリット

「任意整理の概要」でも書いたように、任意整理は裁判所を通さない、任意の話し合いによる手続きになります。

任意での話し合いで行う為、時間的にも早くなります。
例えば自己破産だと、申請書類の作成をするにあたっても様々な書類を集める必要があります。また申請書類提出後も、裁判所の面談などもあり破産決定、免責までにかなりの手間と時間がかかります。
これが、個人再生になると、さらに多くの書類が必要になり、いくら申し立て書類は、弁護士や司法書士が書くとはいえ、生活再建のために忙しくしている依頼者には、かなりの負担となります。

これに対し任意整理は、たいした必要書類等はほとんどありません。
さらに、整理したいところだけを選ぶことが可能になります。
例えば、整理後にも継続して利用を続けたい業者や、保証人があり保証人に迷惑を掛けたくない、といった業者を除外して整理することが可能となります。

他にも、任意整理であれば、今ある処分して換価することなく、財産をそのまま維持できることもできます。
これが、自己破産であれば、最低評価額以上の全ての財産が換価されることになります。また、個人再生では換価しない場合は、財産・資産価値以上の金額を弁済しなければならないとされています。

また、家族にも職場にも気付かれにくいのも、任意整理となります。
自己破産であれ、個人再生であれ、会社に様々な必要書類を出してもらえなければ、書類作成すら行えません。
家庭においても同じで、生命保険証書であったり色々な物が必要になってきます。そればかりか、裁判所からの通知が届いたりもします。
こうした中で、任意整理は任意での交渉であるため、会社に在籍している証明と、所得の証明さえできれば、手続きは行えます。

任意整理の利点の中には、「官報に載らない」と言うことも挙げられます。
中には、官報など誰も見ないなどと、書いてあるWEBページを見かけますが、実際は違います。
少し前ですが、破産者MAPといったサイトがWEB上に現れ話題になりました。
TVなどで話題になったため閉鎖されましたが、全く同じコンテンツがドメインを変え、今でもWEB上に存在し興味本位で探す人や、破産者に向けての詐欺用のデータブックとして利用している組織も実在します。
このように、破産や、個人再生を行い、個人情報を晒すことは一定のリスクが生じることを理解してうえで、どうしても必要な場合に行うべきものです。

任意整理は、個人情報の公開や手続き上の煩雑ではないメリットもありますが、自己破産や個人再生と異なり、デメリットもあります。
任意での整理交渉となるため、破産免責のように債務がなくなったり、個人再生のような大幅な債権放棄がなされません。
そのため、長期にわたり返済していくことになります。
しかし「借りたものは返す」との根本を考えれば、当然の話かもしれません。

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