生活困窮で所得税滞納、口座の給与差し押さえは「違法」 大阪高裁、国税に全額返還判決

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かなり前のニュースですが、税金の差し押さえについての高裁判決の記事です。
今まで、税金等はその解釈により、かなりの自由度で差し押さえが行われてきました。
特に国税については、最たるもので給与の差し押さえが禁止されているにもかかわらず、振り込みが終わると給与ではなく個人財産だという理屈で、振り込み日を差し押さえるなどします。
これについて、高裁が違法判決を出したニュースとなります。

生活困窮で所得税滞納、口座の給与差し押さえは「違法」 大阪高裁、国税に全額返還判決
2019年10月11日 13:20
京都新聞 
給与が振り込まれた2日後に口座預金を差し押さえたのは違法だとして、野洲市の50代男性が国に対し、約2万4千円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が10日までに大阪高裁であり、中村也寸志裁判長は一審判決を一部取り消し、国側に全額の返還を命じた。
同種の訴訟に詳しい弁護士は「振り込み数日後の預金を財産ではなく給与とみなし、差し押さえを違法とした判決は全国初とみられ、画期的だ」としている。
判決は9月26日付。
 「どうやって生きていけばいいんや」。
原告の男性は、差し押さえられ、残高が0円になった自身の口座預金を見て絶句した。
過去の事業の失敗で借金があり、所持金は財布に残った数千円だけになった。
 次の給料日まで苦しい生活が続き、友人に借金したり、白米と漬物だけの質素な食事を続けたりして、やりくりした。男性は「自分のようにレールを外れた人間を救うのが国ではないのか。
今回の判決が同じ立場の人の救いになってほしい」と訴える。
 国税徴収法などの法律は、給与や年金、生活保護などの差し押さえを生活保障の観点から原則認めていない。
しかし、銀行などの預金は「一般財産」とされ、差し押さえの対象になる。
 このため、「給与は振り込まれた瞬間、財産としての預金になる」という法解釈で、税務署や自治体が入金当日に「狙い撃ち」のように差し押さえることが全国で相次いできた。
勝俣弁護士は「滞納者は生活が困窮している人が多く、実態に目を背けた法解釈で差し押さえることは、生存権を脅かすことになる」と話す。
 一方、2013年以降、入金当日の差し押さえを違法とする判決が全国で出始めた。
さらに今回は、原告男性が入金額を一部引き出した後の預金も給与と同等と認め、差し押さえの違法性を指摘した。
 勝俣弁護士は「給与が預金になれば差し押さえるというのは常識的におかしい」とした上で、「今回の事例は氷山の一角で、泣き寝入りした人も多いだろう。判例が積み重なり、行政の現場に影響していくことを期待する」と強調した。
口座振り込み2日後に税務署が差し押さえ
 判決や代理人弁護士によると、2016年2月15日、残高1円の男性の口座に勤務先の会社から給与約19万円が振り込まれた。男性は所得税約17万円を滞納しており、2日後に生活費などを引き出した後の残高全約10万円を草津税務署に差し押さえられた。
男性は、最低限の生活保障のために国税徴収法で定められた金額以上の差し押さえは違法だとして、同年12月に大津地裁に提訴した。
 一審大津地裁判決は、「振り込まれた給与は、差し押さえ禁止に該当しない『預金』にあたる」とし、差し押さえは適法とした。男性は控訴し、国側は控訴棄却を求めていた。
 控訴審の判決理由で中村裁判長は、口座は給与の受け取り用で、振り込みから2日経過しても給与と実質的に同じだと指摘。税務署は事実上の給与だと把握していたとし、同法で定められた金額を超える分の差し押さえについては違法と認定した。

今回の判決は、大変価値のある判決だと思います。
しかし、さらに踏み込んでほしいとの思いもあります。
判決理由では、「口座は給与の受け取り用で、振り込みから2日経過しても給与と実質的に同じだと指摘」と指摘していますが、生活していくのに必要最低限のものを差し押さえることは、生存権の侵害だと思います。
給与受取口座であってもなくても、必要最低限の金額は残して差し押さえなければおかしいのではないでしょうか。

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